[Book] 読書メーター2010年6月分まとめ

先月分のまとめです(忘れてた…)。迷宮街が終わったので、ラノベニャル子さんしか読んでいない状態になりました。正直間違っていると思う。
6月の読書メーター

読んだ本の数:12冊

読んだページ数:3927ページ



伊藤計劃記録伊藤計劃記録

短篇・インタビュー・サイトの映画評などの詰め合わせ。短篇は長篇の試作品という感じですが、エグいところだけ凝縮したような味わいで、非常に良かった。書き出しのみで未完に終わった「屍者の帝国」も、ドラキュラ紀元みたいで面白そうだっただけに、本当に残念です。また映画評は「映画を観てもらう」ための紹介として書かれており、映画の見方、楽しみ方に対する洞察の深さや面白さに感心し、実際に観てみたくなるような内容で素晴らしかった。「あの映画を観たら、彼はどう思っただろうか」と、つい考えてしまう。

読了日:06月03日 著者:伊藤計劃



迷宮街クロニクル4 青空のもと 道は別れ (GA文庫)迷宮街クロニクル4 青空のもと 道は別れ (GA文庫)

和風ウィザードリィ群像劇、完結。ゴンドラ設置イベントで、パーティーが解体・再構成されたことで、各人の個性がぶつかり合う形となり、今までよりも抜群に面白かった。とはいえこれは、前巻までに迷宮(街)世界の緻密な描写を重ねたり、人物の心理を丁寧かつねっとりと描いてきた結果のたまものであり、全体通して素晴らしいシリーズであったと思います。迷宮街があり続ける限り、お話は無限に広がるような気がする。今後の展開があるかは不明ですが、まだまだ読んでみたいです。

読了日:06月05日 著者:林 亮介



不思議の国のアリス (角川文庫)不思議の国のアリス (角川文庫)

アリス・イン・ワンダーランドを観たのをきっかけに読んでみました。映画は不思議の続編扱いですが、映画に出てきたシーンが色々あって、クスリクスリと面白かったです(先に読んでおけばよかったな…)。首長アリスと、海産物系のキャラがとりわけ印象に残ったので、映画にも出てきて欲しかったなと思いました。河合氏の翻訳は、普通に読みやすい上に、詩の韻を「日本語で」踏むように訳しており、大変な労作だと思います。

読了日:06月06日 著者:ルイス・キャロル



鏡の国のアリス (角川文庫)鏡の国のアリス (角川文庫)

不思議に続いて読了。チェス盤をモチーフにしたお話の展開がとても面白かったです(細かいところは解説を読んで分かったのですが)。名前に対する問答がとりわけ興味深く、お話にも深い味わいがあったような気がする。翻訳は前作よりさらに力が入ってて、頭字語まで再現してるのには驚きました。

読了日:06月06日 著者:ルイス・キャロル



犬神家の一族 (角川文庫 - 金田一耕助ファイル)犬神家の一族 (角川文庫 - 金田一耕助ファイル)

初横溝でした。シンプルで意外と読みやすく、普通に面白かったです。真相も含めてとにかく普通で分かりやすい感じでしたが、それだけ後進に影響を与えた、普遍的な価値を持つ作品であるということも言えるでしょうか(結構ツッコミどころはあるけど)。雰囲気はおどろおどろしいというよりは、妙に演技っぽくパキパキした感じで、どこか滑稽でもありました。語り口が講談のような三人称だったからかなぁ。特定の人物に感情移入するというより、終始、観客の側から各人の立ち回りを眺めるように読了。これぞ日本の本格ミステリという感じです。

読了日:06月09日 著者:横溝 正史



這いよれ!ニャル子さん 4 (GA文庫)這いよれ!ニャル子さん 4 (GA文庫)

ハス太くん、男の娘すぎる。というのはおいといて、過去作よりもかなり開き直った感がありました。すなわち、これまでかろうじて存在していた大きな展開や次巻への引きも無くなり、クトゥルフ関連のくだらないシャレや小ネタの類を、思いつく限りこれでもかと詰め込み、ひたすら並べただけのブルータルな代物へと変貌。素晴らしい。「聖☆おにいさん」の逝きつく果てを見たような気分になりました。もっとやって欲しい。

読了日:06月11日 著者:逢空 万太



下山事件(シモヤマ・ケース) (新潮文庫)下山事件(シモヤマ・ケース) (新潮文庫)

森達也節全開のジメジメとした面白さでした。下山事件の真相にジャーナリスティックに迫ることなく、いや取材は進めるのですが、その過程で色々と思い悩んだり、協力者と揉めたり、ちっとも前に進まないこのもどかしさ。一人称視点ということもあり、解説で佐野眞一が言うように、正に「メイキングビデオ」状態で、そこにこそ、この本の面白さはあると思った。真実を求めて読んではいけない。モヤモヤとした読後感の中で、何ともすっきりしない気分になる作品。だけどその気分こそが、作者にとっての真実であるようにも思う。

読了日:06月15日 著者:森 達也



妖異暗躍譚2 紅梅の残月 Replay:天下繚乱RPG (integral)妖異暗躍譚2 紅梅の残月 Replay:天下繚乱RPG (integral)

終盤はとても分かりやすい展開でしたが、敵側の動きが利害関係や思想の違いも含めて結構複雑な気がして面白かったです(フラグ解説があっても良かったような)。三輪さんのシナリオは、オーソドックスながらしっかり作りこまれてて、安定感があると思う。戦闘がダイジェストっぽくあっさりしているのは賛否ありそうですが、個人的にはムダを省いている印象で好感です。個性豊かなキャラ(プレイヤーも…)が全部持っていってしまうのも、それはそれで。しかし実際にプレイするとなると、みんな異邦人やりたがりそうですな。

読了日:06月18日 著者:小太刀 右京,三輪 清宗



滝山コミューン一九七四 (講談社文庫)滝山コミューン一九七四 (講談社文庫)

とても息苦しくて面白かったです。団地内小学校で推し進められる、民主集中制・集団教育・班競争に対して、個人的に非常に強い拒否反応が出ました。同じような経歴を歩んできた人間として、原少年に過剰に感情移入してしまったのだろうか。私自身はこんな強烈な境遇ではなかったけど、集団の不気味さと孤独感、また一方では、集団への帰属に対して心地よさを感じてしまうところなど、とても身につまされるものがあった。文体が落ち着いているのに内容が執拗な恨み節なので、異様な迫力も感じました。終盤の林間学校と追求には、恐怖すら覚える。

読了日:06月23日 著者:原 武史



ダブルクロスThe 3rd Edition リプレイ・クロニクル  彷徨のグングニル (富士見ドラゴン・ブック)ダブルクロスThe 3rd Edition リプレイ・クロニクル 彷徨のグングニル (富士見ドラゴン・ブック)

1st、2nd、3rd でのリプレイ1本ずつ。最初の2本は昔の作品であり、いずれも紹介を兼ねた無難な出来でしたが、最後の1本は変則的で面白かったです。2人の PC のうち、黒須左京の過去に触れつつ、悪役に針を振り切った暗い内容。いつもと違った敵も、たまには面白いかなと思いました。みんな好きに楽しくやってるなーという感じ。全体的な満足度はそれほど高くなかったけど、しのとうこ氏の絵がたくさん拝めたのでよしとします。

読了日:06月24日 著者:矢野 俊策/F.E.A.R.



日経ビジネス Associe (アソシエ) 2010年 4/20号 [雑誌]日経ビジネス Associe (アソシエ) 2010年 4/20号 [雑誌]

文房具好きなもので、文具特集は面白かったです。手帳特集は活用法を押し付けるエゴ的紹介に辟易しましたが、文房具はこちらがいかに上手く活用するかに力点が置かれている感じの紹介の仕方って感じで、良特集だと思った。個人的にデジタルツールを全然使ってないので、そこも興味深かったかな。あと、別の特集「台所のダンドリ学」もかなり参考にしてます。

読了日:06月27日 著者:



アルシャードffリプレイ オーディンの槍 (ファミ通文庫)アルシャードffリプレイ オーディンの槍 (ファミ通文庫)

いつものきくたけワールド(世界の危機的クライマックスの連発とか、ラブコメとか、爆笑とか)に、アルシャードが蹂躙されて井上さんが悲鳴を上げるのが面白かったです(逆襲もあったりしてな)。プレイヤーの暴走がすごくてとにかく笑えたけど、後には何も残らない内容でした。ff で初めて出たリプレイが別システムネタ(柊蓮司)っていうのは正直どうかと思う。

読了日:06月27日 著者:菊池 たけし,F.E.A.R.


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