[Book] 読書メーター2011年2月分まとめ

今月から地元の図書館を活用し始め、前から読みたいリストに入れていた古い本を読んでいます。インターネットから予約して、市内の図書館から取り寄せ出来るので便利なり。しかし書評本などを読んでいると、読みたい本がかえって増える罠。どこまでも続く、終わらない素敵なループ。

2月の読書メーター
読んだ本の数:21冊
読んだページ数:3764ページ

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2011年 2/2号 [雑誌]Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2011年 2/2号 [雑誌]
【メモ】フランスの極右政党、国民戦線の党首が現党首の娘、マリーヌ・ルペンに(大統領選候補にも)。アラブ諸国は特定のファミリーが自分達の利益のために国を動かす「マフィア国家」であり、そのモデルが限界を迎えている。雇用を創出すべき時に財政支出を削って量的緩和でカネをバラまくのは最悪の政策ミックス(ジョセフ・スティグリッツのコラム)。昨年末に急死した、米アフガニスタンパキスタン担当特別代表、リチャード・ホルブルックの功績。
読了日:02月02日 著者:

シノビガミ リプレイ シノビガミ乱 不帰城 (Role&Roll Books)シノビガミ リプレイ シノビガミ乱 不帰城 (Role&Roll Books)
今度は戦国乱世だ。【秘密】の暴かれ方が、まるで筋書き通りであるかのようにストンと収まった感じで、ラストには感嘆の声を上げてしまったのですが、後から考えるとこれは、マスターによる巧妙なハンドアウトの配置と、プレイヤーによる戦略的な動き方とが、上手くかみ合ったからこそではないかという気がして、とても感心しました。また今回は、設定パートもかなり面白く、何でもありな戦国テイストを読むにつけ、シナリオの断片が色々と思い浮かぶのでありました。プレイしたい。
読了日:02月02日 著者:河嶋 陶一朗,冒険企画局

大江戸の正体大江戸の正体
江戸解説本。諸々の話題には興味深いものがありました。江戸時代の貨幣経済とか、鎖国という制度は無かったとか、暗闇祭りとか、日本橋柳屋の由来とか、商家の女子優先社会とか、出雲阿国のかぶき踊りとか。あと、表紙裏の「大縄地」の地図がきれいで見惚れてしまいます。ただなぜか、全体的にやたらと読みづらくて困りました。文章というより、構成があまり整理されていないからか。読み物として楽しむというより、資料としてつまみ読む感じです。
読了日:02月02日 著者:鈴木 理生

お七火事の謎を解く (江戸東京ライブラリー)お七火事の謎を解く (江戸東京ライブラリー)
八百屋お七の正体に迫る…のはごく一部分で、天和の大火を中心とした、江戸の火事と復興の記録がメインの読みどころでした。特に大火の描写については、真偽のほどは定かではない内容も飛び交いますが、基本的には分かりやすくて迫力があり、雰囲気を掴む読み物としてはいいと思います。肝心の謎の部分は、陰謀論的で鵜呑みには出来ませんけど、内容としては面白かったです。というか、お七の火事って彼女の放火のことではないんですね…。これを読むまで思いっきり勘違いしていました(反省)。
読了日:02月04日 著者:黒木 喬

シャドウラン 4tn Edition リプレイ 旅する天使たち (Role&Roll Books)シャドウラン 4tn Edition リプレイ 旅する天使たち (Role&Roll Books)
国内の展開ストップにつき、長らく発売されていなかったリプレイ第2弾がついに出ました。NPC 含めたキャラ同士の軽快なかけ合いや、テンポの良いストーリー展開で、難しいシステムながら読みやすかったです(ルールや設定の話題はすべて欄外へ)。実際のセッションはかなり時間がかかっているのでしょうけど(何せ4セッション分も入っているのですから)。内容についても、シャドウランと言えば都市の闇を駆けるみたいなイメージがあったけど、こんな旅モノもありなのかという感じで、新鮮でよかったです。やっぱり遊んでみたいぞ。
読了日:02月07日 著者:朱鷺田 祐介

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2011年 2/9号 [雑誌]Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2011年 2/9号 [雑誌]
【メモ】パレスチナは中東革命の波に乗らず目立った動きが無い。モスクワ空港テロは事前情報があったにも関わらず起きた。プーチンの強硬なカフカス弾圧が過激派を育て、報復の連鎖を招いている。ロシア国民の間に広がる自暴自棄感、外的要因による若者の死亡率が非常に高い。アップルの次の一手は決済機能か(おサイフケータイ?)。
読了日:02月07日 著者:

ゆるやかな風の王立海軍2 〜月光の妖精〜 Replay:りゅうたま (integral)ゆるやかな風の王立海軍2 〜月光の妖精〜 Replay:りゅうたま (integral)
海軍シリーズ第2弾。読みどころは何といっても、後編のクライマックス、劇中劇のシーンでありますよ。参加メンバーが力を合わせて(よってたかって)全力で盛り上げる展開で、目が眩むほどの面白さでした。ルルディが持つ複雑な背景を、全員で見事に活かしているのを見て、各人の TRPG 力の高さに脱帽。これだけランダム要素の強いシステムで、ここまでドラマティックに仕上げるとはすごいです。また、メタ会話がどれだけされているかは分かりませんが、GM、PC間含めて、皆が相当な信頼感で結ばれていると思います。次はチェスだ!
読了日:02月08日 著者:岡田篤宏,テーブルトークカフェDaydream

サタスペ ホラー・リプレイ 叫びの家 (Role & Roll Books)サタスペ ホラー・リプレイ 叫びの家 (Role & Roll Books)
ホラーなサタスペ。シナリオ自体はいかにもホラーな印象ですが(もっとホラーショウ的なB級パニックモノかと思ってたので意外でした)、戦闘など、端々で活劇テイストが顔を出すので、最終的にはやっぱりサタスペだねって感じ。1クールの中盤あたりに一話だけ挿入される番外編みたいな。ボリューム的に若干の物足りなさを覚えますが、こんなシナリオも出来るんだよ、といった意味としては良かったと思います。あと相変わらず螺旋人さんのネーミングセンスは素敵です。
読了日:02月10日 著者:池田 朝佳,冒険企画局

誰でも作れる電子書籍 今すぐできる制作から販売まで誰でも作れる電子書籍 今すぐできる制作から販売まで
タイトルはハウツー本ぽいですが、そういうのは最後の方にちょろっと出てくるくらいで、後は新しいモノが生まれてきたことに対する興奮を、ナマのまま熱く語る内容がほとんどでした。(著者が USTREAM でしゃべったことの文字起こしとか)。正直、看板に偽りありなんじゃないかと思いますが、ある意味、「誰でも作りたくなる」ような意欲を駆り立てられる本だと思います(私としては、そういう内容だと事前に割り切った上で読んだというのもありますが)。電書フリマの試みは、新しい同人誌の形としては興味深いです。
読了日:02月13日 著者:米光一成,小沢高広,電子書籍部

デジタルの夢でメシを食うためにボクらは!デジタルの夢でメシを食うためにボクらは!
ゲーム作家や WEB クリエーターへの聞き語り集。個人的に一番面白かったのは飯田和敏。常に斜め上を行く発想もそうですし、話し方までどこか笑える感じでやはり好きだなと思った。他、エキサイトブックスの企画ってたくさん本になってたんだなとか(もえたん文学賞メッタ斬りなど)、筒井康隆からの影響を複数人が挙げていたあたりが印象に残りました。全体的に、現場の声をよく届けている感じで面白かったです。あと幕間のコラムが何気に良いですね。米光さんの言葉は、抽象的であっても芯が通ってて分かりやすいです。
読了日:02月14日 著者:米光 一成

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2011年 2/16号 [雑誌]Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2011年 2/16号 [雑誌]
【メモ】中東に広がる反政府ドミノと、それに喝采を送るイラン。ムスリム同胞団曰く、ムバラクへの反乱は、イスラム教徒ではなく「エジプト国民の革命」。
読了日:02月14日 著者:

ベストセラー本ゲーム化会議ベストセラー本ゲーム化会議
ゲーム作家3人で、ベストセラーなどの話題本をもしもゲームにしたら、というテーマにかこつけ、読書会形式で感想を言い合うしゃべり場って感じでした。作品の内容についてあれこれ放談しているさまが楽しく、いざ本題であるゲーム化の話に入るとその無鉄砲な面白さが一段落ちてしまう感じがしますが、紹介されている本が読みたくなるという点では、とても良かったと思います。みうらじゅん読みたし。あと米光さんの『虹』解釈は目の覚めるような思いがしました。
読了日:02月16日 著者:麻野 一哉,米光 一成,飯田 和敏

日本文学ふいんき語り日本文学ふいんき語り
コンセプトと面子は『ベストセラー本ゲーム化会議』と一緒で、対象が日本近代文学の類なのが本書。ゲーム化の部分は弱くなり、本人達も作品について語り合うのに夢中になってます。内容もこちらの方が面白いです。中でも三島由紀夫はとても良かった(これはゲーム化の部分も秀逸)。有名な文学作品を楽しく語るのいいですね。エンタメ好きで秀才型の麻野さん、純粋で時折目の覚めるような解釈を見せる米光さん、音楽話と妄想ばかり話す飯田さんと、三者三様のいいトリオだと思います。
読了日:02月19日 著者:麻野 一哉,飯田 和敏,米光 一成

偽アメリカ文学の誕生偽アメリカ文学の誕生
米文学研究家・翻訳家の評論や書評まとめ。アメリカ文学から村上春樹を分析するという見方が良かったです。現代アメリカ文学において、「いまやアメリカ文学とは、アメリカ人(その多くは白人男性)によってアメリカについて英語で書かれたものばかりではない」という視点に基づく、偽アメリカ文学というテーマ。後半は、ドン・デリーロについての長い評論で、これも読み応えがありました(ドン・デリーロ、未読なので読みたい)。
読了日:02月21日 著者:都甲 幸治

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2011年 2/23号 [雑誌]Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2011年 2/23号 [雑誌]
【メモ】アフリカに寄付された援助金の少なくない部分が、横領や不正流用に消えていた。エジプト革命を後押ししたグーグルの地域幹部、ワエル・ゴニム。「多様性の中の統一」を国是とするインドネシアに広がる、イスラム少数派への暴力。セレブや IT 系の有名人が集う新しい Q&A 型 SNS「クオーラ」(人力検索はてな?)。独裁者を描いたロシアの童話「ごきぶり大王」(1920年代の童話なのに何故か検閲されなかった)。日本の合言葉は「ハイブリッド・ジャパン」ではどうか。
読了日:02月22日 著者:

月刊 アフタヌーン 2010年 01月号 [雑誌]月刊 アフタヌーン 2010年 01月号 [雑誌]
読了日:02月23日 著者:

マジック・フォー・ビギナーズ (プラチナ・ファンタジイ)マジック・フォー・ビギナーズ (プラチナ・ファンタジイ)
家族や青春の物語に、ファンタジックな(ただし、いささかグロくて生々しい)表現を振りかけた短篇集という感じです。場面場面の描写がいちいちぶっ飛んでて面白い。話の流れに着いていけなくなることもしばしばでしたが、訳者あとがきにもあるように、意図的に物語の定型を壊したりしているらしいので、その混乱もまた本書の魅力という感じでしょうか。個人的には、チャック・パラニュークが本能レベルでもっと狂ったような小説、という印象を受けました。面白かったです(読むの大変だったけど…)。
読了日:02月24日 著者:ケリー・リンク

剣客商売 (新潮文庫―剣客商売)剣客商売 (新潮文庫―剣客商売)
池波正太郎、初めて読みました。するする読めて、大変面白かったです。齢六十の爺さんが、二十歳の娘に手を出して嫁に迎えたり、美形の女武芸者がその爺さんに打ち負かされて恋したり、おっさんの妄想願望爆発しろ的な設定がとても良かった。二話目には早速、衆道も出てきますし。キャラ立てや配役がしっかりしていて、話は簡潔で分かりやすく、文章は無駄なくシンプルで読みやすいし、毎回出てくる飯の描写がよだれが出るほどリアル、という感じで、エンターテインメントとして素晴らしい作品だと思いました。次々と読んでいきたい。
読了日:02月25日 著者:池波 正太郎

Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2011年 3/2号 [雑誌]Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2011年 3/2号 [雑誌]
【メモ】アメリカの高速鉄道網の建設は、見返りや儲けがほとんど無いのでやめるべき(一方、読者の声には同内容の記事に対する批判が)。ジョージ・クルーニーをはじめとした、知名度を利用したセレブ外交(声を上げたい人々の代弁者となる)。反イスラム感情を利用しつつ、過激派と極右思想を禁じながら支持を集める、仏国民戦線党首マリーヌ・ルペン。役柄とは異なり、思想家で芸術家の魂を持つトミー・リー・ジョーンズ。不況にあえぐアイルランドに捨て馬があふれている。
読了日:02月27日 著者:

月刊コミックビーム 2011年2月号 [雑誌]月刊コミックビーム 2011年2月号 [雑誌]
おおひなたごうの新境地「まほう少女トメ」。普通にこわい。最後のページにさりげなくギャグが入ってて余計こわい。
読了日:02月27日 著者:

難解な本を読む技術 (光文社新書)難解な本を読む技術 (光文社新書)
難解な本(思想書など)を読む際の具体的な方策について解説した本。選び方や読まない技術に関する話が印象的でした。ノートの取り方なども詳しく書かれていて、「技術」というよりは「手段」という気もしますが、参考にはなります。あと個人的には、読者に思考を促して決定させるための「開いている本」と、すでに結論づけられた自分の考え方を読者に解説するための「閉じている本」という分類尺度が新鮮でした。後ろ半分は、実際の思想家ごとに対する読み方指南が(「付録」という扱いで)書かれており、これはこれで実用的てはないかと思います。
読了日:02月28日 著者:高田 明典


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