読書メーター2009年12月分まとめ

先月分のまとめです。TRPG のリプレイが多いな…。リプレイって、一冊読み終わると、続けて他のリプレイに手が伸びてしまいます。会話だけで構成される文章のリズムに慣れてしまうと、普通の小説に戻るタイミングを逸してしまうというか。なので、全体的にちょっとライトな感じ。
12月の読書メーター

読んだ本の数:8冊

読んだページ数:2412ページ



トーキョーN◎VA The Detonation リプレイ ビューティフルデイ あるいはヒュー・スペンサー最後の事件 (ログインテーブルトークRPGシリーズ)トーキョーN◎VA The Detonation リプレイ ビューティフルデイ あるいはヒュー・スペンサー最後の事件 (ログインテーブルトークRPGシリーズ)

N◎VAの基本を押さえた素晴らしいリプレイ。そうか、N◎VAってこんなゲームだったなと、改めて思わせられる内容で、とても面白かった。設定とかシナリオはオーソドックスでありきたりかもしれませんが、各人のプレイレベルが非常に高く、読み応えのある内容。稲葉義明の得意技である落ち着いた語り口もあって、雰囲気は抜群に良いし、ルール面では、特技コンボなど基本を押さえたわかりやすさなので(ブランチ等の応用面は無し)、プレイ指南としても良質。今度はアストラル方面を踏まえたリプレイも読みたい(ナイトウォッチも出たし)。

読了日:12月04日 著者:稲葉 義明



ブレイド・オブ・アルカナ The 3rd Edition リプレイ 剣十字の騎士 (ログインテーブルトークRPGシリーズ)ブレイド・オブ・アルカナ The 3rd Edition リプレイ 剣十字の騎士 (ログインテーブルトークRPGシリーズ)

ブレカナの基本を押さえた、良質なリプレイ。1本目はまさに定番なシナリオって感じ。2本目は変則的なシナリオながら、ドラマティックな展開で非常に読み応えがあった。最後のしかけは上手い。キャラもよく立っているし。特技等の説明がわかりやすく、ルール指南としての側面もちゃんとしてるのも良いです。注釈とかをちゃんと入れたいから、最近のリプレイは単行本サイズで出すのかしら…。稲葉さんのリプレイは『ハイデルランド英雄譚』のが最高傑作と思うけど、このリプレイもとても面白かったです。バスカニア、いいキャラだにゃあ。

読了日:12月11日 著者:稲葉 義明,F.E.A.R.



クトゥルフ神話TRPGリプレイ るるいえあんてぃーく (ログインテーブルトークRPGシリーズ)クトゥルフ神話TRPGリプレイ るるいえあんてぃーく (ログインテーブルトークRPGシリーズ)

現代クトゥルフのリプレイとして普通に良い出来。3本収録で、それぞれ定番シナリオって感じで、シナリオ作りの参考になったし、内容的にも楽しめました。個人的に、キーパーをしていると宇宙的恐怖の描写にいつも苦労するので、その辺が特に参考になります。各キャラも、ずば抜けて素晴らしいロールプレイということは無いのですが、かえってリアルに我々のプレイングに近い印象で好感が持てます。狐印のイラストは、ちょっと微妙に合ってない気もするけど、今が旬てことでまあいいんじゃないでしょうか。まさにニャル子逆輸入状態。

読了日:12月15日 著者:内山靖二郎



ダブルクロスThe 3rd Editionリプレイ・ジェネシス(2)  日常のボーダーライン (富士見ドラゴンブック 30-12)ダブルクロスThe 3rd Editionリプレイ・ジェネシス(2) 日常のボーダーライン (富士見ドラゴンブック 30-12)

2巻の最終盤になってやっと、話が転がり出した感じ。非常に丁寧に作られていると思うのですが、それが全体のテンポを悪くしている印象が無きにしも非ず。一般のプレイヤーに近い形で、リアルなリプレイを表現しようとしているのかもしれませんが、PC間の絡みは掛け合いというより馴れ合いに近く、いささかもどかしい。唯一、神月先生の熱くて愉快なロールプレイは素晴らしいと思う。一応、次巻以降の展開には期待していますが…。

読了日:12月20日 著者:F.E.A.R.,伊藤 和幸



風立ちて“D”―吸血鬼ハンター 2 (朝日文庫―ソノラマセレクション (き18-2))風立ちて“D”―吸血鬼ハンター 2 (朝日文庫―ソノラマセレクション (き18-2))

シリーズ2冊目。村の少女リナとその周囲を巡る、とても切ないお話で、Dは狂言回しと化しており、彼の華麗なアクションはあまり見られませんが、ドロドロとしていて、かつ陰惨で悲劇的な、いかにも吸血鬼モノといった雰囲気は、個人的にかなり好みでした。テーマ的にも定番で手堅い内容と思います。

読了日:12月22日 著者:菊地 秀行



アクセル・ワールド〈1〉黒雪姫の帰還 (電撃文庫)アクセル・ワールド〈1〉黒雪姫の帰還 (電撃文庫)

ソードアートでも思いましたが、ゲームの中に「取り返しのつかないこと」という設定が、非常に効果的に盛り込まれていると思います。月並みな言い方ですが、リセットが出来ないゲーム、であることを知ると、何だかドキッとする感じが。喪失を描く、ジュブナイルとしても機能しているわけで。ゲーム小説の常かもしれないけど、アプローチが上手いなと。物語もノンストップで読みごたえがあって、面白かったです。

読了日:12月26日 著者:川原 礫



解雇手当(ハヤカワ・ミステリ文庫) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ス 17-2)解雇手当(ハヤカワ・ミステリ文庫) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ス 17-2)

社長が突然、社員を皆殺しにしようとする小説。帯や煽り文句はバトル・ロワイアルですが、中身はもっと個々人にフォーカスしており、濃密な描写がこれでもかと続き、お腹いっぱい。タランティーノの映画みたい。設定は陳腐極まりないので、そこを楽しむよりは、執拗に繰り広げられる過激な暴力描写を楽しむサド小説って感じ。看板に偽り有りかと思うけど、これはこれでアリかな。

読了日:12月30日 著者:ドゥエイン・スウィアジンスキー



もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだらもし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

マネジメント=野球部のマネージャーという発想の飛び方が絶妙で、面白いなと思った。読み手にイメージを補完させるという意味で、対象に非営利組織を持ってきた距離感もちょうどいいと思う。意図してかどうかは不明ですが、高校野球そのものに対して、シニカルな視点になっているのが面白かったけど、これは考えすぎでしょうか。物語は非常に分かりやすくて読み易さ優先という感じですが、見事に「感動をマーケティング」出来ているし、良かったと思います。そういえば、選手宣誓では「夢や感動を与えることを誓います」とか言うよね。

読了日:12月31日 著者:岩崎 夏海


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