Dracula

先日、古典を読みました。

吸血鬼ドラキュラ (創元推理文庫)

吸血鬼ドラキュラ (創元推理文庫)

吸血鬼モノは以前から興味がありましたが、TRPG で遊んでいることもあり、*1 改めて名の知れた作品を読み返そうと思い立ったものです。思い立ったのですが、これの直前に、ドラキュラの続編的作品『ドラキュラ紀元』(キム・ニューマン)をよく調べもせずに読んでしまい、何が何だかよく分からなかった私はうっかりさん。
ブラム・ストーカーはこの作品くらいしか知らなくて、「他の作品がほとんど残ってないってことは、この作品も推して知るべしなのでは…」との勝手な思い込みからそれほど期待してなかったのですが、これは確かに面白かったですごめんなさい。
トランシルヴァニアの土着な雰囲気が、良い意味で吸血鬼っぽくなくていい感じ。不気味な雰囲気が良く出てて、ハッタリも効いてる。個人的には、吸血鬼というと『夜明けのヴァンパイア』(アン・ライス)のような耽美なイメージを思い浮かべるのですが、もっとおどろおどろしく、奇怪な印象だったのが逆に新鮮でした。ずいぶん古い翻訳のはずですが、いい雰囲気を作り出しながらも普通に読みやすく、良かったと思います。
そして、映画も観ました。
ドラキュラ [DVD]

ドラキュラ [DVD]

コッポラのドラキュラ。だいぶ前に観た事ありましたが、あまり覚えてなかったので再見。
鮮やかな色使いとか、奇抜な衣装が印象的でしたが、オープニングのドラキュラさんの鎧が『GOEMON』みたいで笑ってしまった。シリアスなシーンなのに…。全体的に、色あざやかな衣装とかはちょっと気恥ずかしい感じ。

参考画像
ストーリーは、原作をなぞった展開ですが、設定が全然違ってて、ドラキュラ伯爵の愛の物語になってた。感動的ではありますが、あんまりおどろおどろしい雰囲気は無く、どちらかというと官能的なイメージ。ジョナサン・ハーカー(キアヌ・リーブス)が、かなり損な役回りになってて、いっそう不憫に…。あと、レンフィールドがトム・ウェイツだということに初めて気づきました。素晴らしい演技で、まさに怪演でありました。
影の演出とか、カメラワークとかにはかなり凝ってて、よさげな雰囲気でありますが、衣装などと同じく、いささか過剰な気も。とはいえ、今なら CG できれいかつ簡単に作れそうなところを、ちょっと不器用な印象を抱かせるマニアックな作りは、味があって良かったです。逆に、これが不自然に感じてしまうのは、時代を感じさせたりもしますね。ちょっと前までは普通に観ていたはずで、逆に CG の動きに違和感を覚えていたはずなのであります。
最後の戦いは、やはり映像の方が盛り上がりました。小説では、最後まで登場人物の手記だから、いささか地味ではあったので。
というわけで、とても面白かったです。
今年は、ホラーの秋にしようかと考えている今日この頃です。次はフランケンシュタインだ。寺田克也の表紙がすごいぜ。

文庫創刊50周年記念フェア|東京創元社