WINO

去年10月頃、WINO のアルバム『EVERLAST』を中古CD屋で買って、思いのほか良かったので満足していた時*1、耳に飛び込んできたのが彼らの解散というニュースでした。正直こんなに良いアルバムを出して、何で解散するんだという風に思いました。だってタイトルが「EVERLAST」ですよ。音楽的にも、バンドサウンドとして、ひとつの大きなグルーヴ感を生み出していて、まさに絶好調という感じだったのです。でもセールス的に結果を残さなければ、契約更新時期に次のステップに移ることはできないんですよね。NUMBER GIRL の解散は、それ自体の問題はともかくとして積極的解散と言えるかもしれませんが、WINO のそれは、外的要因による強制シャットダウンであります。まさにワイノーの敗北です。そしてそれは同時に私の音楽的生活の敗北も意味していたわけです。だってこれ以上ワイノーの新曲を聴く機会を永遠に奪われてしまったのですから。
そのとき彼らにお金を落としたことがなかったことを、猛烈に後悔しました。CDは全部中古で買っていたし、ライヴにも行ったことがなかったのです。最後のライヴ、CLUB SNOOZER でやった解散ライヴも個人的な事情で行けませんでしたし。好きなバンドに対価を支払うという対面的な関係を放棄していた私には彼らの解散を悲しむ資格すらないと思いました。ただひたすら、5人の新しい出発を送り出すこともできない悔しさだけを感じていました。
先月から、「SNOOZER」編集長、田中宗一郎選曲のベスト盤*2を買ってきて、よく聴いています。というか今思い返すと今日まで毎日聴いています。ワイノーは正直オリジナル盤だと、「これ聴け!!」という優れたアルバムというのは無いと思うのですが、ところどころ素晴らしい輝きを秘めた楽曲が落ちていて、まさに原石のような才能を持っているのです。なのでベスト盤は本当に素晴らしい楽曲ばかりです。そして吉村さんの、現実の苦しさを乗り越えてただひたすら肯定し、祝福しつづける歌を聴くたびに、今の悲しみを先の物語へと変換していかなければならないと思うのです。ラスト・ベスト・アルバムにして、「Volume 1」であることの意味をかみしめないといけないのだと思います。


あまりにも思い入れが強すぎて盲目的でこっぱずかしい文章ですが、載せます。
という感じで、これからこちらには雑文のようなものをたまに落としたいと思います。

*1:nettyu日記 10月21日分 参照
http://www.magisystem.net/~akiu/diary/200210.html

*2:『THE BEST OF WINO Volume 1』
ASIN:B00008DYRY