#036 p.218 JEFF MILLS "MIDIUM"

#036


本誌に対して、「断定を読者に押し付ける」という意見がある。と同時に、「言うことがコロコロ変わる」という意見もある。どちらもいけないことらしい。アホか。これまで我々は、その二つを半ば意図的にやってきた。断定とはビートだ。ファットなキックだ。それは、明確に読み手に何かを伝えるための、ランドマークであり、参照点だ。ビートがクリアであれば、そこには文脈(リズム)が生まれる。読み手は、そのリズムにあわせて踊ってもいいし、ビートの裏に合わせたりしてもいい。つまり、そこには議論(ダンス)が生まれる。そして、このビートは、何度も何度も打ち鳴らされることで、決して結論にはならず、常に新たな文脈と新たなダンスを生み出していくことが出来る。だが、『クッキー何たら』のように、ひたすら断定することを回避して、うすら寒い共感にすり寄ることを続けていると、ダンスどころか、リズムさえ生まれない。音楽について語ることは、そもそもが徒労であり、暴力であり、悪である。それはある種の政治だ。ジェフ・ミルズの音楽はそれを拒否し、それがゆえに永遠にプロセスであり続ける。(後略)
田中宗一郎


暴走妄想系でありながら、最終的にはレビューとして帰着し、何だかよく分からないながらも納得気味な感情を抱きました。ただ、言うことを変えたというよりは、もっと受動的なものもあったように思いますが。ただタナソウはかなり言いっ放し感が強くて、文章からでは結構真意が読みきれないところも多い気がします。もともと表現にあまり固執しないタイプなのかもしれないです。